パーキンソン病の意思決定支援

K様 80代 女性 要介護2 病歴:パーキンソン病(ホーンヤールⅣ)、直超脱、糖尿病 夫と2人暮らし KPは隣県在中の長男夫婦の支援

介入直後は、直腸脱の繰り返しにより日常生活への影響が大きかった。セカンドオピニオンを経て外科的に根治手術が施されるまでは安静を余儀なくされ、入院や手術により活動量が減った事も重なりADL低下が認められた。

自宅退院後は日常生活動作やリハビリテーションの継続によりADLは改善し、その後概ねADLを維持できている状態。
階段昇降は難しく移動範囲は狭いが自宅内は伝い歩きにてほぼ自立。

パーキンソン病の症状としては、すくみ足を中心とした動作緩慢とジスキネジアがあり、日内変動も大きい。
内服薬は飲む回数が多いため飲み忘れもあるが、アラームを使用する事で飲み忘れは減った。

ここ最近は、食事摂取量の低下に伴い体重減少がみられ、飲水摂取時の咽込みも増加していた。
医師からは改めて栄養管理や治療方針について家族で話し合う必要性が説明され、胃瘻を含む経管栄養について検討するよう提案があった。
本人は「お腹に穴を開けたくない。」と明確な意向があった。夫や家族からは「まだ食べられているから大丈夫。」や「必要になったら考える。」との発言があり、現時点では胃瘻造設を積極的に希望する状況ではない。
しかし、主介護者である夫からは「誰も本人の気持ちは聞かない。みんな自分の都合の良いように考える。」との発言もあり、本人の意思と家族の考えに大きな相違は見られなかったものの、本人の思いを確認し共有する機会は十分ではなかった。

パーキンソン病における胃瘻造設は、脳血管障害や終末期認知症で行われる胃瘻とは異なる特徴を持つ。
病状の進行に伴い、運動機能だけでなく嚥下機能も低下すると内服が困難となり「薬が飲めない事でさらに症状が悪化する」という悪循環に陥りやすい。
このためパーキンソン病における胃瘻は、栄養補給だけでなく、抗パーキンソン病薬を確実に投与し、ADLやQOLを維持することを目的として検討する場合もある。
胃瘻の導入によって薬剤投与経路が確保されることで、症状の改善や生活機能の維持が期待できる場合もある。
一方で病状が更に進行すると十分な薬剤効果が得られ難く、経口摂取も困難となる。
そうした段階では胃瘻の役割は機能維持から延命治療へと意味合いが変化していく可能性もある。

本人の意思は一貫しているが、その背景には胃瘻に対するこれまでのイメージや価値観が存在している可能性がある。
一方で、病状の変化や身体状況によって考えが変わる事も十分に考えられる。病状の進行や栄養状態の変化に応じて繰り返し説明と対話を重ね、胃瘻によって期待できる効果と限界を本人・家族が十分理解したうえで意思決定できるよう支援を行っていく事が重要だと感じた。
今後も、本人の意思を継続的に確認するとともに、家族へ適切な情報共有を行い、本人を中心とした話し合いの機会を支援していきたい。