T様 70代 男性 要介護3 病歴:混合型認知症、脳出血後遺症パーキンソン症候群、慢性腎不全。生活保護受給、アパート1階に独居。
約5年前に脳出血で緊急入院。後遺症と加齢も伴い軽度認知症(まだら認知症・言語障害・精神・感情の障害)。
慢性腎不全は透析レベルではないがクレアチニン値2.8~3.2mg/㎗で両下肢に軽度浮腫あり。
元々内縁関係の女性宅で同棲していたが、女性が寝たきり状態になり施設入所。それに伴い、住居を現アパートに引っ越し、訪問看護導入となった。
物静かな性格だが、言語障害による失語、構音障害は著明で、促すと易怒的も見られた。
訪問介護・通所介護・福祉用具貸与のサービス利用は継続し、毎日誰かの目が届くようにサービス利用のプランで、内服管理や状態観察、緊急対応の依頼。
自宅にお風呂はなく通所で入浴保清実施。
ADLは室内歩行自立、屋外も杖や歩行器で近隣のコンビニまでの往復歩行可能。
内服は本人の拘りが強く自己管理し内服量も多くオブラートを使用。
ご本人から病院に行くのが、金銭的に時間的に大変だ、近隣のクリニックでも通院しやすい処に変更したいとのご意向。
基礎疾患も多くあり、何科を主治医に選定するかご本人のご意向を優先しパーキンソン症候群・脳出血の脳神経内科近隣のクリニックへ通院することとなる。
以前からパーキンソン症候群に対して処方されたアマンタジンによる副作用で幻視が見えるが、幸いこの幻視で見える人物はよく遊びに来る人物と認識しておりトラブルなく経過観察となっていた。
しかし腎機能も悪く、透析リスクが高く、腎臓内科にも併せて通院することになり、利尿剤を内服でクレアチニン値も悪化せず経過していた。
サ坦会で週2回の通所介護が週3回になり、訪問介護も増回、訪問看護は週1回になったが、緊急訪問や緊急電話等の回数も徐々に増加していった。
通院負担が大きくなり、訪問診療に切り替わり、内服管理も困難で内服カレンダーを使用する。
一人での外出はパーキンソン症状があり易転倒で、ヘルパーさん介助で買い物に行く。
主治医より水分制限を守り自ら工夫し体重増加はなく経過していたが、家具が移動し「友人(幻視)がきて勝手に移動するんだ」と発言。
この頃、内縁の女性が亡くなった事を知り、程なく、内服カレンダーでの管理や内服困難になり、家具移動も多く見られた半月後、夜間徘徊が始まり、警察官保護。夜間で身元引受のワーカーさんとは連絡取れず、看護師の緊急訪問で対応。
自宅に戻したが、幻覚症状、被害妄想が強く見られ、ケアマネが緊急ショート手配。
その後施設に入所するが、暴言が酷く精神科病棟病院に入院となった。
本人は今でも、亡くなった内縁の女性のことを思い、昔の写真を大事に持っている。
一緒に暮らした家を出て、現在のアパートは終の棲家だと思い、ゆくゆくは透析を受けながら生活したいと語っていた。
基礎疾患も多いため、内服薬も数多く、副作用の幻視は軽度であれば、内服でコントロールは可能ではある。
しかし、急激な症状悪化で対応も難しかった。入所した施設でも暴言を吐いており、自分の意向が上手に伝えられず、易怒性が出ているのだろう。
適切な治療で病状が安定して、何処で最期を迎えるのか、独居高齢者の難しさを感じた事例でした。
