ACP(Advance Care Planning)とは、将来の変化に備え、将来の医療及びケアについて、 本人を主体に、そのご家族や近しい人、
医療・ ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、本人による意思決定を支援する取り組みのこと
M様。96歳。女性。橋本病・高血圧症・認知症なし。要介護5。不定愁訴多く多剤薬内服。
夫他界後、次女早期退職し二人暮らし。マンション上階には姉夫妻が居住。KPは次女。
ご本人の拘りが強く、主治医に対しても要望が高いため、評判のドクターを求めて、ドクターショッピング。
転倒腰椎圧迫骨折後ADL低下で、通院介助が大変で、ケアマネージャーが訪問診療導入提案。
訪問診療開始したが、緊急コールが多く、ドクターから訪問看護師導入の提案で、訪問看護師介入。
不定愁訴が多く、週末の緊急コールが頻回にあった。
ドクターコールもあり、不定愁訴の原因を探るのには、精密検査提案し、検査するも病院の対応が悪いと苦情が入る。
体調を壊すことの繰り返し、在宅医では対応の限界があると救急搬送するも当日帰宅で、家族対応が大変で、さらに体調を壊すを繰り返し、
主治医は3年で5人変更し介護事業所の変更や家政婦の変更も頻回。
スーパードクターや他科往診医師・歯科医師・訪問マッサージなどの介入もあり、情報の統一が難しかった。
入院はしたくない、在宅療養希望するが、積極的治療、苦痛でない延命をすることは常識との事。
ショートステイや看取りの話は非常識、タブーとされた。
次女からは「介護や医療が訪問や自宅に来てくれるのは嬉しいが、誰からも共感や寄り添う事は感じられない。
専門家なのに、いつもどうですか決めてくださいと丸投げしてくる」と話す。
ご自分の事は最終的に自分で、自分達で決定しなければ、私達は何もできません。意思決定はご自分達で決めてください」と何度も伝えた。
大腿骨骨折入院、老衰で全身状態は悪く、手術不可で、退院となり、漸くACP会議が行われた。
余命は本人に伝えず、今後自宅か病院かという事で、ご本人は自宅を希望。
1か月自宅で過ごすが危篤状態で救急搬送。2日後に永眠。
共依存している親子であった為、お母様がいなくなった後の次女の精神状態は非常に心配ではあったが、
グリーフケアでは、「本人が自宅でと希望したのに、やっぱり自宅で最期を看るのは辛かった。どうしたらいいか決めることは難しかった」と話された。
しかし「それも良い選択」と話し、「ホッとしました。勉強になりました」と安堵の笑顔。
「死」をタブー視することは日本ではよくあり、ACPの考え方も難しいことが多くあります。
「自己決定」は最終決定ではなく「いつでも変更していい」ことであり、我々も残された家族のためにも終活、ACP開催を積極的に自分から話せていけたらと感じます。
ご家族の状況と関係者の連携・情報共有は必須で、どこで暮らしても、まずはご本人が安寧に生活できることが一番大事で、ご家族の安心も必要なのです。
誰でもが避けられない「死」と向き合ることをこの年末年始に始めてみませんか?ご相談はいつでもお受け致します。