A様98歳、女性。要介護4、長女と同居(敷地内に長男家族)、22歳の猫1匹。現病歴:認知症・大動脈弁狭窄症、既往歴:糖尿病、貧血
昨年2月、自宅トイレで一過性の意識消失し救急搬送。
貧血加療目的で入院となるが、精査の結果「重度大動脈弁狭窄症」と診断される。
超高齢でありTAVI手術は希望せず自宅退院となる。今後は在宅療養希望で、訪問診療と訪問看護師の導入となった。
ADLは一部介助で、食事・トイレ・入浴もできている。認知症ですぐ忘れてしまうが、一日の殆どをベッドで過ごし、寝たり起きたり、週末はデイサービスに出かけたりと退院後は穏やかに過ごしている。
頻尿で、1時間毎のトイレ往復で、長女が介助し、大変だとは言うものの、良い運動と捉えている。
嚥下状態は良く、普通食を食べられ、甘い物が好物で毎日のおやつも楽しんでいる。
ご本人のベッド横に22歳の高齢猫の寝床があり生活している。
気まぐれに出て来て、ご本人に「ニャーニャー」話しかけ、A様がよしよしと抱いて撫でる姿が良く見られた。
「同じ高齢なんです。お互い構って貰えないとつまらないみたいで。」と長女がいつも笑顔で二人の様子を話される。
昨年7月、A様が発熱し肺炎で入院加療し退院した後も、「退院するまで寂しくていつもニャーニャー鳴いていたんです」と話す長女の横で、ベッドで猫を抱き撫でたり話かけながら過ごすA様はとても穏やか。
猫が体調不良の時、A様が気づき「おかしいおかしい」と長女に訴えたこともあった。
A様の調子が悪いときは猫も活気がなくなり、A様が元気な時は猫もA様のそばで甘えで過ごす…二人はまるでシンクロしているかのようだと不思議な気がした。
長女も、「本当に不思議ですよね、具合悪いとどちらかがとかじゃなく一緒になるんですから。」と笑って話す。
昨年末、A様が急性肺炎で緊急入院。状態は非常に厳しいと連絡があった。
いつも猫と一緒に過ごす母親を見ている長女は「できることなら自宅で高齢のそれぞれを思いやりながら、最期を迎えられたらと…」と仰る。
A様と猫との絆は強く、また猫と一緒に窓際のベッドで穏やかに過ごせる日を信じ現在闘病中である。
コロナ禍を機にご自宅にペットを家族として迎える方が今まで以上に増えたそうで、ペットも家族として、人生の時間を共に過ごしている方は多くいらっしゃると思います。
ペットと過ごせる高齢者施設やセラピー犬猫のいる施設などもあり、人生の最期を穏やかに猫と過ごす姿を見て、温かな気持ちになりました。
他のご利用者様もペットが家族の一員として、可愛がられ、共生する様子を目にします。
高齢のペットをケアしてくださる方や家族として、心の支えや癒しを与え合い、共生し療養できる環境やペット同伴で利用できる場所が当たり前になる事を切望いたします。