利用者と介護者の意向に相違ある場合の看護

Y様101歳、女性。要支援2→要介護5、子供2人と生活。 現病歴:老衰による廃用性症候群、既往歴は緑内障・円背

101歳の誕生日まで要支援2でトイレも自立していた。
既往歴に緑内障はあるが新聞や読書は可能なレベル、円背で歩行は杖や伝い歩行で移動している。
高台に自宅があり、外出するには約45段の階段を昇降する必要があり、ここ1~2年は外出していない。
通院は娘さんが代診で薬処方。認知機能の低下もなく食事も3食しっかり摂取出来ている。

訪問看護はご家族から入浴させるのが困難になってきた為、介助をして欲しいと依頼あった。
浴室内手すりなく危険な為、住宅改修とシャワーチェアー購入し、看護師介助での入浴開始となる。

101歳の誕生日が過ぎた頃から徐々にADLの低下出現し、介護用ベッド自費レンタルし訪問診療開始となる。
2ヶ月で入浴も出来なくなり寝たきり状態になった。
区分変更で要介護5となり今後の介護方針を決めるなかで家族トラブル発生する。

主介護者は娘さんで80歳、その3~4歳下に弟がいて、都合が悪くなると大声で怒りだりヒステリー症状出現。
あまりの声の大きさに近所迷惑は有名。精神科受診を勧めるも病気ではないと通院拒否し、若い頃は仕事が定着せず、メンタルクリニックには通院していた。

寝たきり状態でも意思疎通は保てていたが、酸素化不良で往診医から在宅酸素導入の指示あり。
食事は娘さんが準備し全介助で摂取できていた、この頃から弟さんが「食事は母親の好きなものを中心にしろ」「そろそろ施設に入れろ」と言い、口論が始まる。
お姉さんからは「母親は以前から在宅で亡くなりたいと言っていたし、自分も高齢者ではあるが最期まで面倒を見るつもり」という。
弟さんは、「姉なんかに介護なんか出来る訳がない施設に入所させろ」と看護師がケアしてる際にも介護方針で喧嘩が始まり、母親の状態は日に日に悪化、食事摂取出来なくなり臀部や両下肢に褥瘡が出来始める、エアマットは以前から使用しているが、体位交換を家族にお願いするも、そのやり方で喧嘩が始まり看護師の指示は入らない状況。

結局母親は褥瘡が悪化し「痛い痛い、助けて」と言いながら102歳の誕生日くる数週間前に他界した。
冷静に話し合いが出来ない、介護を手伝わない弟さんをどの様に対応して、母親が望む在宅で、苦しませずに看取りすることが出来たのか、施設入所のメリットを娘さんに伝え、施設に入所させるのも正解であった。
精神科受診の既往歴のある弟さんは、見た目は普通で町内会活動にも参加しているのだが、姉との会話になるとヒステリーをおこして看護師や介護士がケア出来ない状況は問題であった。