高齢者のまさかに備えて

F様。88歳男性。現病歴:洞不全症候群、膀胱癌術後、尿膜管癌術後、肺癌、肥満、慢性下肢浮腫。要介護2。奥様を急にを亡くされ独居。認知症なし。ADLは一部介助、通院以外は外出なし、外出時車いす使用。

12月にご自宅で奥様ご逝去された。それまでご夫婦で問題なく生活されていた。訪問介護は生活の見守り程度で入浴介助ぐらいしか必要と感じていなかった。しかし、高齢者の独居であること、ケアマネージャーさんの直感から訪問看護を取り入れた方がいいとサービス開始。ご本人も病気はあるが一人での生活を続けたいという希望と、ご家族からのサポートしてほしいという要望も加わり開始に至った。

ご本人は「困っていることはない」と言われたが高齢で状態急変しやすいため現在の症状を観察しながら在宅で穏やかに過ごせるように、ご本人のニーズに合わせた関りが重要と思われた。些細なことから、少しずつ介入し日常が維持できるようつとめた。
下肢浮腫が著名でADLも低下していたためマッサージやストレッチをおこない転倒防止や、排便コントロールが不良で食事療法や薬物療法なども本人が負担に感じないように少しずつ、皮膚が脆弱でスキントラブルも起きやすかったので、皮膚の状態観察と軟膏塗布、肩の褥瘡の処置などご本人と確認しながら一緒に行った。見違えるような改善は乏しかったが、悪化はしないようにご本人が不必要と感じないように関わりを維持してきた。
やっと、少しずつ関係を築き上げてご本人が必要と感じてきた時に、自宅で意識消失しているという連絡が入った。どうやらトイレに行こうとしてそのまま意識消失しお亡くなりになられた。主治医に看取っていただき最期は関わりのあったすべてのサービスの人たちの中で、仲の良かった奥様のもとへ旅立たれた形となった。

サービスを開始され、半年もないくらいの期間ではあったがお一人で寂しく旅立たれるのではなく、F様を思う、F様の気に入った人たちの中で旅立たれました。
高齢者にはまさかがあります。今回のようにケアマネージャーさんの直感で、諦めず、相談していただけたらこれからも本当は必要としている人にサービスが届くように努めてまいりたいと思います。(足立)