個別看護・寄り添う看護とは!

J様。72歳女性。現病歴:肺癌、腰椎圧迫骨折。要介護1。

ご主人が事故で急死し独居になったばかり。長女は遠方に在住で、何かあったときにすぐ対応できないため独居を心配されていた。今まではご夫婦2人で協力しながら生活をされていた。
昨年7月に肺がんが見つかり治療開始、通院もご自身で行っており、内服も自己管理できていた。抗がん剤の治療が1クール終わった後、体力が戻らず次のクールは体力の回復を待ってからとなった。
今年6月に圧迫骨折となりまた、7月から抗がん剤治療も始まろうとしていた矢先ご主人を亡くされ、在宅医療の介入となった。体調が悪い時は何もできず、階段も転倒しそうで心配と。
ケアは迅速に導入できたが介入当時はお薬カレンダーや薬の一包化など便利になるだろう、介入者側が良かれと思って進めたがご本人の意向には沿わなかった。特にお薬カレンダーに対し認知症のイメージが強くとても嫌がった。テレビで認知症の番組を見ていたとき、必ずお薬カレンダーがあった。
そのため自分もその一人になってしまったのかとひどく傷ついたと。ご自身でやれることは今迄通りにやりたいと。ただ、できるという自信が時折負担をかけたこともあったため、ご本人の意向を尊重しつつ身体的な援助、精神状態のフォローをしていった。
ご本人の気持ちに真に寄り添う事、意向を取り入れながらケアをしていく事を改めて学ばせていただいた。一人での生活にも少し慣れ自信が持て始めてきた頃、遠方の娘さんが今後を心配され、独居ではなく施設のほうがいいのではと。話がとんとん拍子に進み8月に抗がん剤治療を続けながらのホスピス入居となりケア終了。

ご本人は、まだ一人でやっていけると思ってはいたが「いずれは誰かのお世話にならなければならない。今ではない気もするが娘孝行と思って、自分で行こうと決めた」と仰られた。ケア側は利用者に対し「してあげるケア」を選択してしまうことがある。利用者が自己決定し前進できる様に寄り添う事が私達のケアだと確信させて頂きました。(足立)