徘徊保護、介入拒否、困難事例?

H様。75歳女性。現病歴:認知症・要介護4、J2、Ⅱa。

精神障害の兄と二人暮らしで兄の世話を行ってきた。身なり構わず昼夜歩き回り交番のお世話になることが度々で管轄地域包括支援センターや以前からの主治医等が見守っていた。
血だらけで徘徊するご本人を見つけた通行人が救急車要請し救急病院に搬送。顔面両足に怪我、顔面は縫合受けるが、応急処置で自宅に戻され、地域包括支援センターの連絡はいり、職員自宅訪問。介護保険申請する。

食事水分も全く取れず、顔面の消毒も必要ということで、急遽相談・訪問依頼があり訪問開始。兄は被害妄想が酷く、電話機やお金を盗まれたと言い、介護力も期待できない。
ご本人の情報は全く分からず、自宅に訪問し抜糸まで消毒が必要な1週間で状況把握アセスメント、今後の課題抽出を行うことになった。兄妹共、に幻覚、幻聴、被害妄想があり、午前中の訪問では人格が変貌していた。夕方訪問することでお二人とも穏やかに接することが出来た。居室は食べた物はそのまま放置。入浴、更衣は最終実施が不明。食事や水分取れず極度の脱水と衰弱あった。食事や水分を促すとよく食べられたので、身体的回復は早かった。
全身掻把痕で出血し衣類に血痕付着。ゆっくりの介入で信頼を得て、訪問介護の利用も可能になる。区役所福祉課や地域包括支援センターの職員が、医療保険証・介護保険証の発行や公で金銭管理後見人の手続きと進み、居室の環境整備、入浴洗髪やケガの処置、介護通院介助での受診もできるようになった。

徘徊は訪問時に同行し敢えて徘徊を促したりと怪我や保護されることは無くなったが、幻覚幻聴があり、誰かが誘いに来る、玄関に人がいると言い、夕方に駅で(亡くなった)母や姉を待っている。既往歴、治療歴、現病状態も全く不明であるが、「当事者は全く困っていない」為、病気を見つけて治療するのではなく、社会資源を当たり前に使えて、安寧に自宅で生活出来る様に柔軟な対応と個別性プランでで支援して参ります。(橋井)