誤嚥性肺炎を予防し在宅療養継続するには?

H様、86歳女性。 アルツハイマー型認知症・パーキンソン症候群・慢性硬膜下水腫。既往歴に静脈瘤手術。大腸ポリープ切除あり。要介護4。2022年8/31に退院され翌日から訪問看護介入開始。

主介護者の長女様のご意向は絶対再入院させないで、在宅での介護で在宅看取り希望。退院時に妹様と施設入所か在宅か相談し、長女様は自宅に連れていきたいと強く思い自宅で介護を開始した。当初食事はギャッジアップしベッド上で座位で、オーバーテーブル使用して普通食を摂取。パーキンソン症候群に起因した姿勢異常・姿勢反射障害があり、去年暮れ頃から徐々に食事時座位姿勢をキープすることが困難になってきた。今年に入ってクッション使用しポジショニングを工夫した。そして、食事形態も副食を刻みとし主食をお粥に変えたり、汁物にトロミをつけたりと段階的に変更した。

しかし、食べこぼしが増え、スプーンを介護スプーンに変えてみた。握力の助けにはなったが、微細運動が困難な為にこぼすことは改善されなかった。誤嚥する事が増えたとご長女様からの訴えあり、嚥下訓練(唾液腺刺激するマッサージや発声練習等)を行い、家族指導もして、一時的に誤嚥回数が減って行ったが、筋強剛による後頚部の硬直が出現し始め、後方に倒れる姿勢になってしまい、前屈みの姿勢をキープ出来なくなってきた。その為、再び誤嚥する回数が増えてしまい、食事量が減り痩せてきた。今までのクッションに加えビーズクッションも背当てに足したところ誤嚥が減ってきたそこで、食事をベッドから車椅子に変えてみることとし、4月中旬から大腿と背部が固定できるジェルクッション付きのリクライニング車椅子に変更して、飲水試みたところ全く咽ず飲みこめた。ご長女様が大変喜んで、毎回食事時は車椅子を使用されるようになった。咽こまずに食事量も増えてきた。当初から車椅子での食事はお勧めしていたが、ご家族は手間がかかると拒否された。問題が発生したところで、良いアドバイスができ、ご家族が必要と納得したことで継続に繋がり、良い予防策になった。根気強くご家族、介護者に寄り添うことが一番の予防策であることを再認識した。

訪問看護師として求められる事や目標を共有し、限られた時間で行動し、どんな工夫をすれば症状の改善が図れるかを考える機会を与えてくれた事例でした。今後も安心、安全、安楽、安寧に住み慣れた自宅での生活を楽しんで頂けるように支援し、情報発信して参ります。(鳩山)