腰痛緩和でQOLアップ

N様。89歳女性。重度の大動脈弁狭窄症、腰痛症、腰椎圧迫骨折、変形性膝関節症、円背、高血圧症。難聴あり。認知症なし。主訴:めまい感、胃部不快感(逆流性食道炎疑い)あり。

ご主人の訪問開始するが、奥様の状態の方が悪いのではとアセスメント、全く受診もせず、市販の薬を勝手に飲んでいた。高血圧で眩暈や浮腫あり、転倒をくり返していた。夫の便尿失禁状態等の介護で疲労していたため、薬管理と環境調整を行うところから介入した。夫は介護認定されてからデイサービスに宿泊となった。お二人に訪問診療開始し始めて治療開始となった。

腰椎圧迫骨折に起因した腰痛出現し歩行困難あり、トイレには伝い歩きでなんとか行けるがリハパンの上げ下げができず、尿失禁状態で一日中ソファーで過ごし就寝する事が多くなった。食事は同居の長女が用意して配膳。内服薬はお薬カレンダーでは分り難いと、箱に日付け順にセットし、飲み忘れがなくなった。尿失禁と尿臭は継続。両下肢の浮腫著明で足尖部は暗紫色で冷感あり、足浴後ユベラクリーム塗りマッサージを続けた。結果、徐々に循環不良と浮腫が軽減してきた。

腰の筋肉(広背筋や大腰筋・腸骨筋・腰腸肋筋等)が硬く強張っているため、ご本人に説明しながら、筋肉を緩め、ストレッチのリハビリを実施した。徐々に肩から腰背部の筋肉が柔軟になり、疼痛軽減し活動的になり、トイレや保清のセルフケアもできる様になった。また水分補給するとトイレの回数が多くなると拒否あったが、水分補給し活動することで循環良くなり下肢の浮腫も軽減することを説明し、納得されて水分摂取出来た。

また、なるべくトイレに行き下肢筋力アップと水分補給で下肢の浮腫の軽減にもつながり、「足が楽になった。」と喜ばれ、意欲的に出来て居る。下肢筋力トレーニングも積極的に行うようになり、自ら「もっとしっかり歩けるようになりたい。」と仰り、笑顔が多くなり、意欲的に取り組む様になっている。

疼痛に対して薬剤投与を第一優先にしてしまいがちですが、別の方法を模索し、利用者の気持ちに寄り添う事、意向を取り入れながらケアをしていく事を改めて学ばせて頂いた。利用者が自己決定し前向きになる様に寄り添う事が私達のケアだと確信させて頂きました。