在宅から施設入所のタイミング

少しでも長く自宅で過ごしたいと希望していた三名の事例をご紹介します。

①N様。77歳。女性。アルツハイマー型認知症.と精神疾患、未治療。成人後見人利用。
兄と二人暮らしだが、兄も被害妄想あり、兄の介護力は期待できない。徘徊頻回で転倒しその度、頭部・顔面受傷。
病院に救急搬送され、裂傷縫合。創部連日消毒で訪問。衣食住のセルフケアが全く出来ず、家中がゴミ屋敷状態で身体や衣類の汚染酷く、食事や水分も摂れてない状態。

また、夜型の生活スタイルで、午前中は不機嫌で人格変貌し、介護拒否するため夕方の訪問。裂傷や掻痒感で出血することは頻回。
入浴や処置、都度の内服管理、食事、環境整備を実施。皮膚トラブルと掻破痕が絶えない為軟膏処置実施。食生活や排泄状態・睡眠状態等観察実施。

兄も訪問者を快く受け入れるようになった。ご意向は「二人でずーと暮らしたい」を叶えるため支援したが、認知症状が次第に重症化して、
幻聴と昼夜逆転で夜間徘徊とその都度の転倒・受傷、火の不始末など危険行動も増えてきたため、在宅生活継続の限界と判断した。人からの介助を拒まず、笑顔が多くなった為、申し込んでいた特養ホームへ入所。


②O様。80歳。女性。アルツハイマー型認知症・発作性心房細動、治療中。犬と同居。夫が急死ご病状悪化。
衣食住のセルフケア全くできず、毎日徘徊し帰宅できていたが、帰宅できなくなり、靴にGPS装着。二人の娘が介護していたが疲弊し、看護師介入。

少しずつ内服管理、保清、更衣、食事等の介入で、人を拒否していたが受け入れた。愛犬急死で1日落胆したが、復帰。通所にも慣れてきた。
徘徊で帰宅できなくなり警察沙汰になり、交通事故の危険から回避するためと娘たちが疲弊したため、本人に入所を伝えず、突然有料老人ホームに入所。


②P様。95歳。女性。レビー小体型認知症・心房細動。治療中。生活保護受給者。息子と同居。
通所とヘルパーさんが生活援助。幻覚、幻聴酷く徘徊を繰り返す。内服薬管理や褥瘡等皮膚トラブルの処置で介入。

看護拒否あったが傾聴で入浴もでき、落ち着いていた。別居中の孫が遊びに来るのが楽しみ。息子は糖尿病と精神疾患あり、全く介護しようとしない。
正常な判断つかず、徘徊するP様に暴言暴力をふるい、P様が身の危険を感じ助けてくれと訴え、住み慣れた家が危険なところとなり、養護施設に措置入所。その後、特養ホーム入所。


自宅か施設入所かを決めるタイミングは難しく、自宅に居たいご意向と安全であるかどうかを見極めることが必要で、ご家族の状況と関係者の連携・情報交換の必要性も認識させられました。
どこで暮らしても、まずはご本人が穏やかに安心できる安全な場所で生活できることが一番大事な事で、ご家族の安心も必要なのだと解りました。