R様70代後半女性 要介護2 認知症軽度あり。完全房室ブロック、ペースメーカー心筋症、心不全、子宮頸癌術後、癒着性腸閉塞術後。両下肢浮腫著明。
認知症夫と二人暮らし、同マンションに長女家族在住。近隣に次女宅あり、介護力は充足している。両下肢浮腫著明で体重増加みられ、急遽大学病院受診。心不全で入院となった。
入院中からうつ状態になり、不安や自殺企図を訴えるようになる。食思不振で退院後は摂食障害で体重激減、利尿剤も内服していたが、内服拒否。
受診拒否で、ご家族は叱咤激励するため、激怒して引き籠るようになった。
「生きているのが辛い。このままご飯食べないで何日で死ねるのか」と頻回に言うようになった。家族も疲弊し、辛いと発するようになった。
顔色悪く覇気もなく、小声で、常にため息をついて不眠状態。
ケアマネさんと相談して、今は精神科の治療が第一優先。病院に行かないというのであれば、精神科の訪問診療を早々に介入して戴く為に、訪問してくれるクリニックを急いで探し、訪問して頂いた。
訪問看護師も診察時には同席させて戴き、ご本人に寄り添い安心を与え、苦痛を取って貰う事を説明した。
まず、痛みと不安を取り、眠れるように内服することにした。
徐々にではあったが、笑顔が出てきて、食事もとれ、室内で活動できるようになった。
循環器疾患で、大学病院受診は必須と思われたが、訪問医が大学病院主治医と連携し、情報提供し内服薬処方も出来た。
足の浮腫は極度に減少したが、ADL低下はあり、歩行困難状態は続き、訪問看護師と会話をしながらリハビリを開始した。ご本人は全く変わらないという。
先日、「お庭の花がきれいに咲いていますね」と話すと「見ていないから」と返事。
翌週訪問時に、「お庭の花がきれいに咲いたから帰りに見て言って頂戴」との事。
全く外出はできないが、外を眺めるようになった。
顔色良くなり、動きも良くなり、入浴した。北国の氷が解けるように、春はもうすぐそこに来ているのかもしれないと思った。
全身を同じクリニックで診て戴き、浮腫性の皮膚炎も緩解した。
かかりつけ大学病院の医師の指示に従うものと思い込んでいましたが、単純に柔軟に、ご利用者の訴えを解決する方法は?と考えることの重要を再確認しています。
固定概念に捕らわれないこと。地域の資源を地域に浸透させ、ご利用できるようにお手伝いして参ります。