Y様60代後半、男性。要介護3 現病歴糖:糖尿病・アルコール性肝障害。既往歴:脳出血で左半身に軽度の麻痺あり。
KP妹。生活保護受給者。自宅は持ち家一軒家2階建て、数年前まで母親と同居していたが、母親が他界後は独居。
脳出血を患うまではトラックの運転手で、その後は職を転々とし長続きせず。
介入は地域包括の紹介で居宅介護支援と訪問介護を導入。この頃は自宅に車があり運転もしていたが、要介護状態になり売却。
訪問看護の介入はアルコール摂取の管理と清潔保持で開始。 訪問時はソファーがベッドでテーブルにはウイスキーと惣菜が散乱。
手先は器用でお部屋に色んな物を取り付けたり改造するのが趣味であった。その工具や物品も管理出来ず動線の妨げになっていた。
当時のADLは室内移動は伝い歩行で何とかトイレ排泄は出来ていた。通院することが出来ず訪問診療と訪問薬局は導入済みであった。
ウイスキー飲酒量は4ℓのニッカウイスキーを2~3日で空にしていた。麻痺やアルコールの影響もあり転倒転落する回数が多くなり緊急訪問も増えた。
生活リズムと飲酒量のアセスメントを行い、瓶を4ℓから2ℓに変更したり、違うアルコールに同意の上で変更する等行い、ケアマネージャーと相談し区分変更を実施して、要介護2から要介護3になり、環境整備を行い、特殊寝台を導入。
サービスも毎日支援者が訪問出来るようになり、訪問歯科も追加導入した。
本人の転倒や転落もかなり少なくなり、ウイスキーも手の届かない位置に置き、1日摂取量を決められる様になった。
しかし、状態が安定した頃、訪問歯科診察で歯科医と歯科衛生士さんが訪問時、本人は食事中で、コンビニのおにぎりを口の中に押し込んで、その瞬間誤嚥し窒息状態になり、歯科医も詰まった物を除去したが、救急車で近隣の総合病院に緊急搬送されるも意識が戻ることはなく亡くなった。
振り返り、利用者に急かせる様な、毎日組むプランが彼の生活リズムに合っていたのか、サービスを提供する側の一方的な思いになっていなかったか、利用者のキャラクターを支援者が理解していたのか、寄り添えていたのか、どのようにすれば事故は防げたのかと色々考えさせられました。
厚生労働省の「人口動態統計」によれば、令和4年の統計で窒息による死亡者数は4696人でそのうち65歳以上が9割を占めています。食事指導や食事の提供方法である程度予防でき、ケアチームが一つとならねば考えます。
